失業保険を一度もらうと、それまで雇用保険に入っていた期間は次の判定に使えなくなります。受け取った後に働いた期間だけで数え直しになるので、次にもらえるのは早くて12か月後です。
ただし、1円も受け取らずに次の会社へ移った場合は、前の期間をそのまま引き継げます。ハローワークで手続きを始めていても、実際にお金が振り込まれる前に就職したなら引き継げます。分かれ目は手続きをしたかどうかではなく、受け取ったかどうかです。
この記事でわかること
- 引き継げるかどうかは手続きの有無ではなく1円でも受け取ったか
- 受け取らずに1年以内に再就職すれば前の期間も通算される
- 加入10年で使えば120日、一度使って3年後だと90日で差は30日
- 2回目の給付制限は1か月。5年に2回以上の自己都合なら3か月
- 65歳未満の老齢年金は受給中は全額止まる
失業保険を一度もらうとリセットされるのは加入期間だけ
受け取る権利そのものが消えるわけではありません。消えるのは、次に受給資格があるかどうかを判定するときに使える期間です。

厚生労働省の説明では、過去に基本手当や再就職手当の支給を受けたことがある場合、その支給を受けた後の期間だけが算定の対象になります。10年勤めて受け取った人も、次の判定では0か月からの数え直しです。
数えるのは在籍年数ではなく月数
1か月と数えるのは、離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金の支払いの対象になった日が11日以上ある月です。80時間以上働いた月も1か月になります。欠勤の多い月や、月の途中で入社した月は数に入らないことがあります。
去年もらったばかりですが、また辞めたらもらえますか。
受け取ったあとに雇用保険に入って働いた月数で決まります。自分の都合で辞めるなら12か月、会社の都合や特定理由離職者にあたるなら6か月です。
特定理由離職者とは、契約期間の満了で更新されなかった人や、体調不良や家庭の事情など正当な理由のある自己都合で離職した人のことです。
受け取らずに再就職すれば加入期間は引き継げる

厚生労働省のQ&Aには、雇用保険を受給せず、1年以内に次の就職先に就職して雇用保険に加入した場合は、前の会社で加入していた期間も通算されると書かれています。ここでいう受給には再就職手当などの就職促進給付も含まれます。
| 何をしたか | 前の加入期間 |
|---|---|
| 受給資格の決定を受けずに就職した | 通算される |
| 決定は受けたが1日も受け取らずに就職した | 通算される |
| 基本手当を1日でも受け取った | 通算されない |
| 再就職手当を受け取った | 通算されない |
| 退職から1年を超えてから就職した | 通算されない |
「受給資格の決定を受けたかどうか」と「支給を受けたかどうか」は別の話です。決定の回数は後で出てくる給付制限の判定に効き、支給の有無は加入期間の通算に効きます。混同すると答えが逆になります。
一度もらった人ともらわなかった人の比較で受給額は248,100円の差
リセットの重さは、日数の差で見ると分かります。自分の都合で辞めた場合の日数は、加入10年を境に変わります。

| 雇用保険に入っていた期間 | 自分の都合で辞めた場合の日数 |
|---|---|
| 1年以上5年未満 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
10年未満はどこで辞めても90日です。つまり加入5年の人が一度受け取っても、日数の面では失うものがほとんどありません。効いてくるのは10年と20年の手前にいる人です。
1日あたりの額は退職前6か月の給与から計算し、年齢ごとに上限があります。30歳から44歳なら8,270円です。この上限額で計算すると、120日で992,400円、90日で744,300円になり、差は248,100円です。
| 退職したときの年齢 | 1日あたりの上限額 |
|---|---|
| 29歳以下 | 7,450円 |
| 30歳から44歳 | 8,270円 |
| 45歳から59歳 | 9,110円 |
| 60歳から64歳 | 7,830円 |
この上限額は令和8年8月1日から適用されているもので、毎年8月1日に改定されます。
自分がどのマス目にいるかで、受け取るかどうかの答えは変わります
加入期間が10年や20年の手前にいるのか、辞め方が会社の都合にあたる余地があるのか。無料診断では、いまの状況で確認しておくべき点を整理します。
受給の可否と金額はハローワークの審査で決まります。事実と異なる申請を勧めるものではありません。
失業保険を2回目にもらう条件は辞め方で変わる

必要な加入期間は、自分の都合で辞めた場合は離職前2年間に12か月以上です。倒産や解雇で辞めた特定受給資格者と、特定理由離職者は、離職前1年間に6か月以上で足ります。特定受給資格者とは、倒産や解雇などにより離職した人のことです。
給付制限は2025年4月から1か月になった
手続きをした日から7日間は待期といって、誰でも受け取れません。自分の都合で辞めた場合は、そのあとさらに給付制限があります。退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月で、2025年3月31日以前は原則2か月でした。いまも2か月と書いている説明が残っているので、退職日で確かめてください。
失業保険を短い間隔で2回もらうと給付制限が3か月に延びる
退職日からさかのぼって5年のうちに、正当な理由なく自分の都合で辞めて受給資格の決定を2回以上受けている場合、給付制限は3か月になります。数えるのは受け取った回数ではなく受給資格の決定を受けた回数です。決定だけ受けて就職した場合も1回に数えます。
自分の責任による重大な理由で解雇された場合も3か月です。
受け取れる期間は離職の翌日から1年で切れる
日数が残っていても、離職の翌日から1年を過ぎると受け取れません。所定給付日数が330日の人は1年30日、360日の人は1年60日です。病気やけが、妊娠、出産、育児などで引き続き30日以上働けなくなったときは、その日数だけ延長でき、延長できる期間は最長3年です。
失業保険を一度もらうと年金はどうなるのか
ここは年代で答えが変わります。失業保険を受け取ったこと自体で、将来の年金額が減ることはありません。減るとすれば、働いていない期間があって厚生年金に入っていなかったからです。
| 年齢 | 年金と失業保険の関係 |
|---|---|
| 65歳未満で老齢年金を受けている | 同時には受けられません。ハローワークで求職の申込みをした月の翌月から、受給期間が終わる月まで年金が全額止まります |
| 65歳以上 | 高年齢求職者給付金という一時金になり、年金と一緒に受け取れます |
| それ以外の年代 | 年金の受け取りが始まっていないので、影響はありません |
65歳以上の高年齢求職者給付金は、雇用保険に入っていた期間が1年以上なら基本手当の50日分、1年未満なら30日分です。受け取っても年金は止まりません。
国民年金の保険料は退職すると自分で納めることになります。納めるのが難しい場合は免除と納付猶予の制度があり、失業した人には前年の所得ではなく退職後の状況で審査してもらえる特例があります。
一度もらうか残しておくかの決め方
| いまの状況 | 考え方 |
|---|---|
| 次の就職が1年以内に決まりそう | 受け取らずに就職すれば加入期間を引き継げます。受け取ると、その分だけ次の日数が短くなります |
| 加入期間が10年か20年の手前 | あと少しで日数が1段上がります。ここで使うと数え直しになります |
| 加入10年未満で、しばらく働かない | 日数はどこで辞めても90日です。生活費が要るなら受け取ったほうが実利があります |
| 会社の都合で辞めた | 6か月で資格が戻り、給付制限もありません。受け取らない理由が薄くなります |
| 1年を超えて働かない見込み | 期限が先に来ます。日数を残したまま切れるので、受け取り方を先に決めておきます |
「もったいないから残しておく」という判断が効くのは、次の就職が1年以内に決まる見込みがあるときだけです。決まらないまま様子を見ていると、受給期間の1年が先に来て、残した日数ごと消えます。
受け取らない場合の受け皿は受給期間の延長と再就職手当と職業訓練
受け取らない場合でも、手続きだけはしておいたほうがよい場面があります。
| 制度 | 中身 |
|---|---|
| 受給期間の延長 | 病気やけが、妊娠、出産、育児などで30日以上働けないとき、その日数だけ受給期間を延ばせます。延ばせるのは最長3年です |
| 再就職手当 | 日数を残して早く再就職したときに受け取れます。ただしこれを受け取ると加入期間はリセットされます |
| 職業訓練 | 訓練を受けている間は、日数が終わっても訓練が終わる日まで基本手当が出ます |
再就職手当は「もらったほうが得か」で迷う人が多いところです。受け取った時点で加入期間の数え直しが確定するので、次の転職が近そうな人ほど、目先の一時金と将来の日数を並べて考えることになります。
よりみちが変えられることと変えられないこと
- 日数を決める3つのうち、動く余地があるのは辞め方だけです
- 年齢と加入期間は変えられません。辞めた事情によっては、判定を求める余地が残っていることがあります。
- 受け取る順番と時期を整理します
- 受け取るのか残すのか、いつ手続きするのか。1年の期限と加入期間の節目を並べて見ないと決まりません。
- 事実と違う申請は勧めません
- 偽りの申告で受け取ると、返還に加えて受け取った額の2倍以下の金額の納付を命じられます。責任を問われるのは申請した本人です。
手続き自体はハローワークで無料でできます。無料診断は、契約の前に自分の状況を確かめるためのものです。
失業保険を一度もらうとどうなるかによくある疑問
失業保険を一度もらうと次は何年後ですか
年数では決まりません。受け取ったあとに雇用保険に入って働いた月数で決まります。自分の都合なら12か月、会社の都合や特定理由離職者なら6か月です。フルタイムで働き続けるなら、それぞれ1年と半年が最短です。
2回目は金額が下がりますか
1日あたりの額は下がりません。退職前6か月の給与から計算するので、受給の回数とは関係ありません。下がるのは日数のほうです。
受給の回数に上限はありますか
上限はありません。条件を満たすたびに受け取れます。ただし5年に2回以上、正当な理由なく自分の都合で辞めて受給資格の決定を受けていると、給付制限が3か月に延びます。
前の会社の離職票も一緒に出せますか
前の受給で使い切った期間は使えません。受給資格の決定を受けずに退職した会社の離職票なら、退職から1年以内であれば合算できる場合があります。
受給中に就職して、また辞めたらどうなりますか
受給期間の1年が残っていて日数も残っていれば、残りを受け取れる場合があります。新しい受給資格ではなく前の続きです。
一度もらうと転職で不利になりますか
受け取った事実が転職先に伝わる仕組みはありません。不利になるとすれば、受給を長く続けた結果として働いていない期間が延びた場合です。

